今回の竹花貴騎氏の転落劇は非常に後味が悪い。
なぜ後味が悪いかというと、MUP生達の関わりは、安愚楽牧場やジャパンライフのような出資法違反の詐欺事件とは、やや異なるからだ。
通常の詐欺事件の被害者(多くは高齢者)には元本・貯金があり、騙されたのはかわいそうだが、お金を増やそうと欲を出したのも事実だ。
だから同情が集まりにくいし、泣き寝入りするしかなくなる。
今回のMUP生(多くは若者)は、金持ちになりたいと思ったかもしれないが、そういう不労所得を得ようとしたわけではない。
勉強して、起業して、成功したかっただけだ。
竹花氏は、20代という年齢を強調して、寄付や慈善活動を大々的に宣伝し、そういう若者をターゲットにした。
結果として、多くの若者の期待や夢が裏切られた。
これはお金を失うよりもずっと傷つく。
だから、後味が悪い。
なかには起業をあきらめよう、と思った人もたくさんいたはずだ。
それが残念。
でも、一方で竹花氏を擁護するMUP生も後を絶たない。
これは、一体どういうことなのだろうか?
ピーター・ティールの本などを読んでいると、一時期のシリコンバレーは竹花氏のような人物がいたる所で闊歩していたようだ。
そんな戦場でアイデアや技術を盗み、競合を蹴落とし、勝ち抜いて今の地位を築いたのがGAFAだ。
いくら資金や技術を投入したところで、日本企業がGAFAと渡り合うことが難しいのはこういった「育ち」の違いもある。
トヨタの社長・豊田章男さんのプレゼンを見ていても、お世辞にもカリスマ性があるとは言えないし、現在の首相なんて……見てのとおり。
もともと日本では口が上手いことが美徳ではなかったにせよ、いくらなんでも外国とやり合うには頼りなさすぎる。
これは、長いあいだ、日本で成功するためには、官僚的な人間でなければならなかったことも一つの要因だろう。
簡単に言ってしまえば、悪ガキが土建屋の社長になり、そのまま首相になるような事は、田中角栄を最後に不可能になっているのだ。
現在の日本社会は人間を生き物として考えると、とても不自然な状況だ。
宇宙人ならきっと奇妙に感じ、こう思うだろう。
なぜ、この猿の集団は、強い猿をわざわざ群れから追い出し、腕力も胆力もない猿をボスに据えるのだろう?
実態は複雑な権力機構が絡み合っているにせよ、若者は本能により近い存在だから、そういった大人を「老害」と認識する。
ボス猿としては竹花氏のほうが適格、というわけだ。
そしてノリの良いBGMとテンポの良いYouTube動画。
MUPの講義は授業というよりは、トーク、音楽、仲間が揃ったライヴだ。
内容が間違っていても、パクリであっても、竹花氏がやる気を与えてくれるのは事実。
若者が言いたいのはきっとそういうことだし、外野が洗脳と呼ぶのもそういうことだ。
もともと竹花氏は開発者でも経営者でもなく、最初からインフルエンサーとしての成功者だった。
「詐欺師」というよりは、偽ブランド品で金持ちを演出する「偽セレブ」と言った方が本質に近い。
フォロワーを獲得していくコツを掴んだ竹花氏は、「偽セレブ」の感覚のまま、ビジネスを始めてしまう。
そこで得た資金を元手に、YouTubeとオンラインサロンを目指すのは、今の時代なら自然な流れだ。
ヤラセが常態化しているYouTube界隈の人間にヨイショされ、竹花氏の天性の盛り癖が限度を超えていく。
そして今回の事態に。
協力会社や竹花氏自らが収集したネタは、元々頭に入っていない言葉だから、動画での言い間違いやミスも発生しやすい。
だいたい、この件の発端となった本書の「できない人は、できる人の真似をするな」というのは、できない人が言うから成立するのであって、「自分はできる」と自認している竹花氏が言ってしまったら、ただの悪口になってしまう(笑)。
論理的に破綻していることに気づかないほど、勢いだけで走っていたのだ。
黒を白と言い張り、自民党総裁候補にまで近づく巧みな話術が、彼をここまで押し上げたのは言うまでもない。
しかも嘘がばれた後でも、メッセージの発信をやめない強メンタル。
竹花氏の胆力は並外れている。
このまま埋もれてしまうのは、本当にもったいないと思う。
でもMUP生は一度、立ち止まって自分で考えたほうがいいかもしれません。
竹花氏を攻撃する野次馬は彼の悪い面しか見ていないかもしれない。
同じように竹花氏を擁護するMUP生も、彼の良い面しか見ていないのです。
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