「脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住 」本田 直之著
どんな人が読むべき?
ハワイと東京の2拠点生活(デュアルライフ)を実現している、あのレバレッジ本の本田直之さんの新刊本。Kindle版があったのでダウンロードして読んでみた。
福岡・高知・京都・神戸などへ東京から移住した人たちへのインタビューを元に構成された移住・起業に関する本。
面白かったのは退職金と年金生活が前提で語られるいわゆる「田舎暮らし本」とは違い、あくまでも子育ても含めた現役世代が、東京から離れて、どうやって見知らぬ土地で働きながら、暮らしていくのか? が語られているところ。しかも職を探すのではなく、自らビジネスをすることが前提になっている。なので登場人物はほぼ社長。
普通に移住して、就職をしようと考えている人にとって、参考になるのか分からないけど、少なくとも地方でビジネスを始めてしまった僕にとっては、初心に戻って考えさせられるいいきっかけになった。
ちょうど今、場所を変えて新しい事業を始めようと考えているので。
移住は必ずしも永住ではない
本書にある「移住は必ずしも永住ではない」という考え方はそのとおりだな、と思った。
別に1拠点である必要もないし、日本国内である必要もない。
移動し続けてもいいんだし、そもそも本来は住所なんてなくてもいい。
でも会社をやる以上、どこかに登記しなければならないし、一度登記すれば、代表者の個人住所を引っ越しする度に、登記も変更しないといけないので、これがなかなか面倒なことではある。そういった意味では法人化してしまった場合は、やはりどこかを拠点にして落ち着かせる必要が出てくるのだ。自宅の他に家賃が発生するので、なるべく費用を抑えるために、だいたいレンタルオフィスか、誰かとシェアをするか、のどちらかになる。
本書に出てくる人は著者の言い方だとみんな「ナイスな人」で人のつながりが自然に出来てくるのだ、と言うが、それはあまりにもハードルが高い。しかも自分で仕事を作り出し、人間関係を広げていける能力を持った人でないと、地方を活性化することはできないので、受け入れる地域も「ナイスな人」を必要としている、という文脈になっている。
なんとなく、プロ野球の経験のある人が、田舎の草野球チームに入ってホームランを打ちまくっている様子に近いものを感じてしまう。東京でそこそこ成功して、人脈のある人が、地方へ行って生活レベルを落とせば、それはたしかにスマートな暮らしができるに違いないけど、僕のように「ナイスでない人」が、地方から、別の地方へ行って何かをしようとした場合は、まあ死ぬほどの苦労が待っているのだ。
ちなみに「あたらしい移住に成功するために必要なコト」というリストがのっていたので転記。
あたらしい移住に成功するために必要なコト
1 発信力がある
2 価値の交換ができる
3 クリエイティブセンスがある
4 モバイル・ポータブルな仕事ができる
5 ナイスである
6 自分でいろいろなモノや価値を創れる
7 人を巻き込める
8 地域の良さを翻訳・編集できる
9 何足ものわらじを履ける
10 自分で考える
11 依存しない
12 常に新しいチャレンジができる
13 東京や海外での修行経験
ちなみに僕が持っていた能力といえば、せいぜいこの中の1つか2つ程度。
それでも、充分に成功できるので、気を落とさないでほしい!
けれども、本田氏のように独自の嗅覚を持ち、誰に頼まれることなく政府や時代の要望をいち早く感じ取って代弁する人の情報はいろいろと参考になる。
望むか望まないかは別として、首都圏ではいずれ医療が受けられないほど高齢者があふれかえるので、彼らを地方へ移さなければならず、若者は雇用の流動性の名のもとに、ほとんどの人間が業務委託という形でフリー(自営業者)になるかもしれないからだ。
それなら副業という形であっても、今から少しずつスモールビジネスを始めておくことが、自分や家族を守るために最善の方法なのかもしれない。
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